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地熱沸騰 -0-
目覚めよ!足元に眠るエネルギー

柳田 京子

昨年末(2003年12月)、『マグマ』(2006年)以来となる、地熱発電開発を舞台とした小説『ブレイク』(真山仁著、KADOKAWA)が発表された。地熱業界のなかでは話題になったものの、著者インタビューを受けることもなく、残念ながら注目されたとは言い難い。

〈左〉『ブレイク』(KADOKAWA) 〈右〉『マグマ』(角川文庫、文庫化されたのは2009年、ドラマ化は2012年)

2011年の東日本大震災後、地熱発電は原発代替の切り札として注目された。世界第3位の地熱資源量を持つ日本にとって、一番有力な再生可能エネルギーとして期待されるようにもなった。

2012年に『マグマ』がWOWOWでドラマ化されたこともあり、震災前から地熱発電に目を付けていた真山は、ことある毎にさまざまな立場の方から、意見を求められていた。超党派議連による地熱発電の勉強会に呼ばれ、講演をしたこともある。

「『マグマ』のようにやれば地熱発電はうまくいきますか?」
そんな風に尋ねられたこともあったことから、地熱発電について、一般のひとが理解できるような本の必要性を感じ、2013年には新書『地熱が日本を救う』(真山仁著、角川学芸出版)を出している。

『地熱が日本を救う』(2013年、角川学芸出版)

あれから10年以上が過ぎた。
地熱は、日本を救っているだろうか。

残念ながら、開発のペースはそれほど上がっていない。しかし、超党派議連による「地熱法」の制定に向けた勉強会は続けられ、当時は耳にしなかった「超臨界地熱発電」の開発も新たに進められている。世界に目を向ければ、アメリカをはじめ、本腰を入れて地熱発電の活用を拡大している国も多い。

地熱発電が面白いのは、原子力や火力のような巨大エネルギーを生む発電ができる一方、小規模の、地産地消レベルの発電も可能な点だ。後者であれば、比較的短期間に低コストで開発が完了する。
さらに、発電をせずとも「地中熱」によって冷暖房の効果を実現することも可能だ。

知れば知るほど興味が湧く、それが「地熱」の魅力だ。
ただ、知ってもらえる機会がまだまだ少ない。それがもどかしい。

『マグマ』や『ブレイク』を書いた真山仁のまわりには、地熱の情報がたくさん集まってくる。せっかくなら、そうした地熱ニュースを、多くのひとに知ってもらいたい。

「地熱発電とは?」「バイナリー発電とは?」「ベースロード電源とは?」
誰もが「それはね……」と説明できるようになれば、足元に眠る巨大エネルギー、地熱を、私たちはもっと上手に使えるようになるんじゃないか。

いずれ日本が「地熱沸騰!」となれるように。
そんな野望を持って、地熱にまつわるさまざまなニュースを、お届けしていきたいと思う。






著者プロフィール:
柳田京子
真山仁事務所スタッフ。フリーランスの編集・ライター。

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