東日本大震災後の2011年9月に発足した、超党派地熱発電普及推進議員連盟(地熱議連)第20回総会が、3月3日に開かれた。発足当時から共同代表の1人だった二階俊博氏から引き継いで、今回より新代表となった細野豪志氏ら議員のほか、資源エネルギー庁、環境省、林野庁、日本地熱協会、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)から上席担当者、発電事業者等が出席した。
総会は久々の開催だったようだが、細野氏を中心としたメンバーによる研究会「マグマプロジェクト」が、昨年秋に3回開催されている。そこで取りまとめられた「地熱開発加速化パッケージ」について報告があった。
報告の中で強調されたのは、国が全面的に支援する施策の必要性だ。具体的には、地熱資源が豊富にあるとされる未開発のエリアを、「地熱フロンティアプロジェクト」と位置付け、経産省・JOGMECが先導して資源量調査や地元理解促進に動き、開発に必要な許認可を行う各省庁が連携して同プロジェクトを円滑に進めるというものだ。
これまで、地熱発電に有効とされるエリアの掘削・噴気試験や地元自治体の合意を得る活動などは、事業者主体で行っていたためうまくいかなかった場合のリスクが高かった。そうした初期開発の部分も、国およびJOGMECが主導することで、地熱開発の加速化に繋げようとしている。
実際、2月に閣議決定された、「第7次エネルギー基本計画」では、JOGMECが地熱資源の調査で得たデータや掘削した井戸を、要望があれば事業者に引き継ぐことや、関係省庁の連携のもとワンストップでの許認可フォローアップ体制を整えることが明記された。
さらに、2040年度に地熱発電が発電総量の1〜2%を占めるようにするために、従来型の開発だけではなく、次世代型の地熱技術の実用化にも力を入れるとし、海外で実証されている「クローズドループ」「超臨界地熱」などにも触れている。
もっとも、2030年までに1%という発電目標を掲げていたにもかかわらず、未だ0.3%にとどまっている現状を鑑みると、単に10年先延ばしにしただけのようにも見える。
実現するためには、ひとつひとつ「これを達成した」という成果を上げていくことが必要だろう。
道のりは険しいが、地熱開発を加速化するためには着実にひとつずつ成果を重ねることでプラスの機運を醸成し、政官民一体で盛り上げるしかない。その原動力として、地熱議連にはさらに充実した活動が期待される。
【参考資料】
「エネルギー基本計画」(2025年2月)
https://www.meti.go.jp/press/2024/02/20250218001/20250218001-1.pdf
「地熱発電 超党派議連が会合“次世代技術の開発後押しを”」(NHK、2025年3月3日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250303/k10014738581000.html
「掘って掘って掘りまくれ!HOTな地熱発電政策【真山仁・細野豪志】」
https://youtu.be/SzZ4Z_At9fc?si=KxbirgDnTPPsb5Sl
プロフィール:
柳田京子
真山仁事務所スタッフ。フリーランスの編集・ライター。