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発言

沈思熟考(1)
天才を見出し、担ぐ文化を取り戻せ

真山 仁

月刊「商工会」巻頭言で連載しているコラムを再録します

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和を以て貴しとなす――という言葉のせいか、日本人はチームワークの良さが、“強み”だと思っているふしがある。だが、それは誤りだ。
日本は、突出した天才たちが、国を切り拓いてきた個人技の国なのだ。

柔道、剣道、空手、相撲――。日本の国技のいずれもが一騎打ちで勝敗を決する個と個の対決だ。
私は野球も、日本の「国技」だと思っている。WBCの優勝は、大谷翔平、佐々木朗希、吉田正尚、岡本和真ら名だたる突出した天才たちが活躍したから実現した。野球というスポーツは、団体競技でありながら、実際のところピッチャーとバッターの闘い、すなわち一騎打ちなのだ。
だから、日本は世界に比肩し、勝利を物にできた。

「奇跡」と言われた日本の高度経済成長を支えたのも、さまざまな分野にいた天才たちの活躍が大きい。
だが、天才だけでは成功は起きなかった。天才を見出し、彼らに活躍の場を与え、それを支援する「担ぐ文化」があったから「奇跡」が起きたのだ。

日本の復権に必要なのは、突出した若い才能を見出し、彼らに失敗を恐れず挑戦を求め、それを根気よく支援していく目利きと支援者だ――。
そこに希望の端緒がある。



●初出:月刊「商工会」2023年7月号 
https://www.shokokai.or.jp/shokokai/gekkan/index.htm

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