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発言

沈思熟考(4)
今こそ地熱発電復活を目指せ

真山 仁

地熱発電をご存じだろうか。
地球の熱を利用した発電方法だが、名前は知っていても、誤解している人が多い。

たとえば、火山のマグマを利用して発電する――。
実際は、マグマに熱せられた地下水が流れる層まで井戸を掘り地上まで導き、その蒸気でタービンを回している。火山大国である日本の地熱源のポテンシャルは、世界第三位で、理論上は全ての原発を代替できるだけの資源が、日本列島の足下に眠っている。
にもかかわらず、全国の地熱発電所の発電容量を合計しても、50万キロワット程度。現在の標準的な原発(100万キロワット)の半分に過ぎない。

地熱発電所が増えない理由は、いくつかあるが、最大の理由は開発について、地元の温泉組合や国立公園等を守るレンジャーなどからの合意がなかなか得られないことだ。
詳細は、2006年に発表した拙著『マグマ』を読んで戴くとして、脱炭素社会を目指し、中東紛争で石油危機が起きる可能性が高まる中、地熱発電を再評価する必要が出てきたのだが、まだ国民の理解を得るには時間がかかるという。

今まで通りの生活を続けためには、電力は必要不可欠だ。さらにAIなどによって、電力需要は増える一方で、エネルギー資源確保は、至上命題だ。しかも、二酸化炭素を出さず、放射能汚染の懸念もない――。そんな地熱発電の開発が、なぜ日本で進まないのか。

そこには日本という国独特の文化が影響している。
ここで議論するには紙幅が足りないので、日本同様島国でありながら、火山がない英国のある学者の言葉をお伝えする。
「我々は地熱のある日本が羨ましい。なぜ、足下に眠るお宝を使わないのか。日本は不思議な国だ」



●初出:月刊「商工会」2024年1月号 
https://www.shokokai.or.jp/shokokai/gekkan/index.htm

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