ジャーナリズムが危機に瀕しています。
旧来型の紙メディアは既得権益にしがみつき、テクノロジーの進化の波に乗り遅れました。その結果、読者からそっぽを向かれて没落し、資本の論理の圧力に退場を余儀なくされようとしています。
代わって台頭したネットメディアも、深い思考を巡らすよりは読者の顔色をうかがって媚びることを優先し、紙が築き上げた信用には到底及ばないのが現状です。
それが時代の要請であるならば、ジャーナリズムはこのまま衰退していくべきなのでしょうか。答えは否です。伝えるべきことを伝え、主張すべきことは主張する。それをベースに健全な議論を巻き起こすことができれば、「空気」が支配しがちな世の中で、果たすべき役割はまだあるはずです。
幸いなことに私の周りを見渡しても、まだ枯れ果てていないジャーナリストや識者は少なくありません。言うなれば終焉を迎えているのは「企業ジャーナリズム」の世界かもしれません。会社の肩書に守られた「寄らば大樹の陰」から、個人が自らの信念に基づいて情報を発信していく時代に移ろうとしているのではないでしょうか。
ただ、その足元は相当脆弱です。各人が高いモチベーションを保っていられるのも、確固たる足場があってこそ。本メディアは、こうしたジャーナリズムを衰退させないための砦の一つでありたいと、誕生したものです。
ささやかな場かもしれませんが、志を同じくする方々と本音の議論を戦わせ、読者の方々の厳しくも温かい評価に値するようなメディアになれば幸いです。