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コラム

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『ネクサス』

真山 仁
『ネクサス』ラメズ・ナム著 中原尚哉訳 ハヤカワ文庫

人間の脳を覚醒させる物質と、それによって超人化する登場人物たち
米中という最強国を相手に始まる諜報戦。SFを超えた近未来謀略小説の誕生


このところの先端技術の革新的な進化で、数年前には不可能だったことが、実現できる社会になった。その結果だろうか。かつて「空想科学小説」と呼ばれていたSF小説の中に、近未来小説として現実味を帯びる作品が増えつつある。
脳内に埋め込まれたナノマシン(というより、感覚的にはドラッグに近い)によって、テレパシーのような交信ができるようになり、それが、どんどん増幅しポストヒューマン(超人)が生まれる。そして、彼らが覇権国家の米中政府と事を構えるという設定は、すにで「空想」ではなく、「まもなく起きる現実」に思えてならない。小説で繰り広げられるのは、新しい謀略小説のスタイルであり、読む人の心を虜にしていく。
このところ、ミステリのカテゴリーにいる謀略小説に傑作が少なくなってきたのだが、こういう手法が確立されれば、新しい傑作が次々と誕生しそうだ。
本作は、その嚆矢といえる。
早川さん、続編よろしくお願いしますね!

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