若い人に“夢”や目標を尋ねると、たいていの人は、「探しています」、あるいは「特にない」と返す。
夢を持ち、思い描く理想の自分になるために切磋琢磨するのが若者だ、というのはもはや幻想なのだろうか。
一方で、「じゃあ、今の世の中に不満は?」と問うと、暫く考えた上で「ありません」と返す人が多い。
社会に対する怒りも、若い人が頑張れる原動力になる。だが、それも「ない」。
なのに、勉強会や社会参画には、熱心なのだ。
一見矛盾しているかに見える行動なのだが、根っこは繋がっているのではないのか、と思うようになった。
それは、「不安」だ。
自分に自信がなく、社会とどう付き合っていけばよいか分からない。だから、勉強会に参加するのだが、「何が分からないのか」が不明な人にとって、勉強会は、単に不安を増幅させるだけだ。
不安を解消するために大切なのは、分からないことを認めて、それを知ろうと一歩踏み込むことだ。そうすれば、自分に関係があるかどうかの判断ができるし、時には不条理を知って怒りを覚えるかもしれない。
そうすると、さらに一歩踏み込みたくなる。
夢中になれれば、叶えたい夢が生まれる。挑戦しようという気持ちも湧く。あるいは、社会問題に怒りを覚えれば、それを解決したくなるものだ。
そういう話をすると、多くの若者は、共感する。しかし、その一歩が踏み込めない。
「失敗したくない」という気持ちが強すぎるようだ。
「勇気を出して踏み出せ」と言っても、効果は薄い。
だから私は、率先して挑戦し、夢中になる姿を見せ、怒りを具体的に説明するように努めている。
挑戦は怖いけど、やらなければ、何も始まらない。
それを、行動で示せる大人であり続けたい。
●初出:月刊「商工会」2025年5月号
https://www.shokokai.or.jp/shokokai/gekkan/index.htm