このところ、「AIの進化に人間が負けないために、どうすればいいのか」という質問を、よく受ける。
専門家によると、AIの進化は、年どころか月単位で進み、SFの世界だと思っていた領域を超え始めているらしい。
一方で、小説を書く力もあるとも言われているが、少なくとも私が試したところでは、「まだまだ使えない」。理由は、独創性と一貫性のいずれにも欠け、人間に深みがない——。自分の作品が完璧、と言う気はないが、そうした欠点が、はっきりと見える。文章は多くの美文から学べば、上手になるだろう。だが、文章が上手いことは、面白い小説であるために必須ではなく、それよりも登場人物に血が通っていて感情移入できるかどうかの方が重要だが、そこが曖昧なのだ。
さて、冒頭の質問に、私はどう答えているのか——。人間が、人間らしくあれば、負けません、と答える。
なんだ、そんなことかと思われるかも知れない。だが、これを実践するのは、難しい。
アナログ人間に徹せよと言っているわけではない。あるいは、喜怒哀楽を持てという単純な話でもない。
物事を理解する時に、しっかりと「自分事」として考えることができ、最終的に、自分の考えを持てる。それが人間らしさであり重要なのだ。
なぜならば、AIは、人間社会を便利かつ快適にしてくれる道具だからだ。使いこなすためには、こちらがなにを求めているのかを明確にする必要がある。
また、生成AIに色々質問したり、リポートを書かせたりする人が増えているが、その「回答」を理解し、目的に合致した正しい質問を続け、中身を充実させる能力が、人間が側になければ、AIがいくら優秀でも、効果を得られない。
すなわち、AIとは、人間が頑張らない限り宝の持ち腐れになるか、自分たちがAIに振り回され、時に欺かれてしまうという厄介な代物なのだ。
AIに負けないためには、自らを知り、自らを鍛える克己心が大前提だ。さもなくばAIと闘う以前に、自分に負けることになる。
●初出:月刊「商工会」2026年1月号
https://www.shokokai.or.jp/shokokai/gekkan/index.htm

