2022年7月11日、無風に近い参議院議員選挙が終わった。
投票日直前、安倍晋三元総理が銃撃され死亡するという大事件が起きたが、選挙自体は、サプライズがない「予想通り」の結果となった。
自民党単独過半数獲得、改憲勢力が三分の二を超えた――!などと、メディアは無理矢理「事件」にしているが、自民党が大勝したわけではなく、前回の衆院選と同様、野党が「勝手に負けた」のだ。
以前から思っていることがある。
参議院なんて必要なのだろうか。
先進国の国会は、二院制を敷くのが「常識」だと考えられている。
だから、先進国である日本も、それにならっている。
一応、憲法によって衆議院解散中は、参議院が緊急集会を開くことができる(憲法第54条2項)ことになっている。
だが、内閣総理大臣の指名(憲法第67条第2項)においては、「衆議院の優越」があるため、実質は、衆議院議員から総理大臣が選ばれる。さらに内閣に異を唱えるための内閣不信任決議も参議院ではやれない等、圧倒的に衆議院が優位なのだ。
いや参議院は「良識の府」として、衆議院の暴走を止めるためにあるとか、多様な民意の反映、政府に対するチェック機能を持つとも言われるが、そんな機能を発揮したのを見たことがない。
しかも、このところ衆参両院における政党の構図はほとんど同じなのだから、参議院での審議は「税金と時間の無駄」だと言わざるを得ない。
それでも必要だというのであれば、衆議院とは異なる政治システムを有し、内閣とも距離を置くことで、冷静な国政を行うためのブレーキとなるような「機能」を持てるように、参議院のあり方を変えるべきではないだろうか。
私は以下のような提案をしたい。
まず、参議院は地方の代表として、全都道府県から二人を選出する。一票の重みより地域の平等を重視することによって、現在圧倒的に都市部からの選出議員が増え続けている衆院とは、異なる使命が持てる。
さらに、年齢枠や職域枠の代表もつくる。
そして、政党への所属を禁止し、比例代表は廃止する。
また、衆議院と参議院の違いを鮮明にするため、衆議院議員経験者の出馬禁止とする。今回の選挙でも、先の衆院選で落選した人が多数参院選に出馬していたが、その悪用を止めない限り、参院不要論は消えないだろう。
その上で、政権の監視役として参院に、政府が提出する法案の否認権を与える。それでも法案を通したい場合は、総理が参院に対して拒否権を行使するか、衆院で三分の二以上の賛成を必要とする程度の強さを与えるべきなのだ。
これで、参議院は重要さを一気に増すことになる。
ふがいない野党は、これぐらいの公約を掲げて、次の衆院選を闘って欲しいものだ。