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発言

沈思熟考(10)
“バラマキ”は、国を滅ぼす

真山 仁

2009年秋、リーマンショックの影響で、財政破綻の危機に喘ぐハンガリーを訪ねた。
複数の国会議員に取材した中で、与党が選挙に勝つために、驚くべき公約を出し勝利したのが分かった。

「年金を、1ヶ月分多く、13ヶ月分払ったんだ。こんなバラマキで国民を堕落させたら、国は甦られない」とある議員は嘆いた。
いったい、どういう神経をしているのか。国民は、怒るべきではないのか。呆れると同時に、日本は、まだ健全かも知れないと安堵したのを覚えている。

だが、このところの日本の政治は、与野党共に「バラマキ合戦」の様相を呈している。
生活苦に喘ぐ低所得者を支援するのは、政府の使命ではある。だが、経営者との合意もないのに、最低賃金を1.5倍にすると言ったり、低所得者が必ずしも楽になる訳ではないのに「103万円の壁打破」を訴え、当選者を一気に拡大した政党があったり……。

誰だって、税金は安い方が嬉しいが、税収が減れば、行政サービスが薄くなる。また、一方的に法律で最低賃金を1.5倍にされて、中小・零細企業は生きていけるのかという問題は、おざなりにされていないだろうか。
「それは、政府が別途、支援すればいい」という主張もあるが、財源は、どこから湧いてくるのだろう。
憲法に「納税の義務」が明記されているのに、税の軽減が国民のためと主張する政治家を信じていいのだろうか。

こうした現象の根底には、国家予算の無駄遣いや不公平感がある。だとしても、日本の国力が落ち続けている時に、カネをばらまいて国民を惑わすような公約が乱発され、それが有権者に支持されるとは――。
刹那的な利益の先には、悲惨な未来が待っている。
政治家がダメでも、国民はしっかりしている社会を、我々は取り戻したい。


●初出:月刊「商工会」2025年1月号 
https://www.shokokai.or.jp/shokokai/gekkan/index.htm

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