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発言

『正しさを疑え!』第26回
誰を選ぶのかではなく、何を選ぶのか

真山 仁

自由民主党の総裁選挙が迫り、メディアでは出馬予想がかまびすしい。
新聞のみならず、週刊誌やネットメディアでも、次期総裁希望調査なるものが、次々と発表されている。

それらを目にする度に、総裁選挙を何だと思っているのだろうかという疑問ばかりが湧いてくる。

圧倒的与党である自民党の総裁は、すなわち日本の内閣総理大臣である。したがって総裁選は、次期総理選挙を意味する。
なのに、出馬表明や表明予想されている人物紹介の大半は、人気投票でもするかのような表層的なものばかりだ。

昔から「総理なんて誰がやっても同じ」という金言はある。
だが、民主党政権時代の3人、それ以降の安倍政権から岸田政権に至るまで、「どうしてこんな総理なのか」と疑問を抱いたことが何度あったか。

つまり、「誰が総理になっても同じ」時代は終焉したのだ。少なくとも東日本大震災が起きた2011年以降は、その時の総理によって日本は、大きく揺れ動いた。
そして、日本はどんどん坂を転げ落ちている。

挙げ句が、与党である自民党は政治とカネという長年の問題の先送りのツケが爆発し、党の組織基盤である派閥が次々と瓦解してしまった。一方で、野党は悪口に近い与党批判しかできず、まともな政策提案を持たず、その場限りの発言ばかりが勇ましい無責任集団に堕している。

世界に目を遣れば、ウクライナでの紛争は泥沼化し、中東問題は、深刻度を増すばかりだ。アメリカもヨーロッパも安定した国は存在しなくなった。政治も経済も、激しく揺れ動き、安定や平和が崩れ去ろうとしている。
そんな時流の中、日本の未来の舵取りを託す人物を決める大切な選挙なのに、なぜ、重大な問いを誰もしないのだろうか。

“この国の未来がよくなるために、今一番やらなければならないのは、何ですか? そのために、あなたは何をしますか。それを実現するための具体的なアクションプランを提示して下さい。”

誰かではなく、何をするのか――それを選ぶ自民党総裁選であってほしい。 
少なくともメディアには、それを訴える気概と覚悟がほしいものだ。

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